歴史
寺田寅彦の名言・言葉10選
寺田寅彦はどんな人?
寺田寅彦は地球物理学者であり、漱石の門下生でもあった。吉村冬彦の筆名で作品を書き、数多くの随筆を残した。その随筆は、今も多くの読者に愛読されている。
名言と残された言葉
10件を表示中
-
01科学
日本もいろいろな精神的なことでは世界一を自信しているようであるが、科学とその応用方面でどれだけの自信があるか疑わしい。
- 意味
- 日本は精神面では世界一を自負するようだが、科学とその応用でも同じ自信を持つかは疑わしい。
- 読み解き
- 執筆当時の科学と社会への時評であり、現在の日本の性質をそのまま断定するものではない。
- 背景
- 『柿の種』の昭和十年の一節。当時の日本で独創的な科学技術の発想が警戒され、外国で成功してから模倣されると批判する。
出典:柿の種 ↗
-
02芸術
すべての世間の科学的常識が進んで行く世の中に文学だけが過去の無知を保守しなければならないという理由はどうにも考えられない。
- 意味
- 社会の科学的な常識が進歩しているのに、文学だけが昔の無知を守り続ける理由はない。
- 読み解き
- 科学知識を作品に並べる勧めではなく、文学者の認識も更新されるべきだという主張。
- 背景
- 『科学と文学』で、文化の進歩に伴って文学も進化し、取り残されずに進む必要を述べる。
出典:科学と文学 ↗
-
03仕事
修辞法は器械の減摩油のような役目はするが、器械がなくては仕事はできないのである。
読み方 修辞法(しゅうじほう)・減摩油(げんまゆ)
- 意味
- 文章の表現技法は内容の働きを助けるが、伝える中身がなければ、それだけでは役に立たない。
- 読み解き
- 表現技法そのものを否定せず、内容を働かせる補助として位置づけている。
- 背景
- 『科学と文学』で、美文を暗唱した中学生時代を振り返り、文章を内容から切り離す考えを退ける。
出典:科学と文学 ↗
-
04思想
どんな空想的な夢物語でも多感な抒情詩でも、それが真の記録であるゆえに有益であり同時に美しいというのである。
読み方 抒情詩(じょじょうし)
- 意味
- 空想の物語や感情豊かな詩も、人間の真実を記録しているからこそ、役に立ち、美しい。
- 読み解き
- ここでの真実は、物語の出来事が実際に起きたという意味に限定されない。
- 背景
- 『科学と文学』で、文学を人間に有用な真実の記録と捉え、科学の著述にも芸術性を認めようとする。
出典:科学と文学 ↗
-
05自由
ちょっと外側から見ると恐ろしく窮屈そうに見えるような天地に居て、そうして実は、最も自由に天馬のごとく飛翔しているような人も稀にはあるようであり、一方ではまた、最も自由な大海に住みながら、求めて一塊の岩礁に膠着して常に不自由を喞つ人も稀にはあることはあるように思われる。
読み方 岩礁(がんしょう)・膠着(こうちゃく)
- 意味
- 制約の多い環境で自由に活動する人もいれば、自由な環境で自ら動きを狭め、不自由を嘆く人もいる。
- 読み解き
- 環境による制約を否定するのではなく、外的条件と内面の自由の違いを述べる。
- 背景
- 『学問の自由』で、研究者の内面における自由は個人ごとに異なり、一概に論じられないと述べる。
出典:学問の自由 ↗
-
06科学
科学はまだまだ、というよりはむしろ永久に自然から教えを受けなければならないはずである。
- 意味
- 科学は今後も、さらに言えばいつまでも、自然から学び続けなければならない。
- 読み解き
- 科学の価値を否定する言葉ではなく、自然に学ぶという科学の原点を確認している。
- 背景
- 『沓掛より』で、あひるの合理的な行動と、未熟な科学を過信する人間の思い上がりを対比する。
出典:沓掛より ↗
-
07芸術
固有でない環境に置かれれば錦繍でもきたなく、あるべき所にあれば糞堆もまた詩趣があるようなものであろう。
読み方 錦繍(きんしゅう)・糞堆(ふんたい)
- 意味
- 美しい織物も場違いなら見苦しく、汚いものでもふさわしい場所にあれば詩的な趣を持つ。
- 読み解き
- 物の美醜を固定せず、置かれた環境との関係で見直すための比喩である。
- 背景
- 『沓掛より』で、陸では不格好なあひるが、水中では美しく典雅に見えることから美と環境を考える。
出典:沓掛より ↗
-
08自然
われわれ人間はただ自分たちの享楽と満足のために、かわいがるつもりで知らず知らずあひるに不自然な生活を強制している。
読み方 享楽(きょうらく)
- 意味
- 人間はあひるをかわいがるつもりで、自分たちの楽しみのために、不自然な暮らしをさせている。
- 読み解き
- かわいがる側の満足と、動物自身にとっての利益が一致するとは限らないという指摘。
- 背景
- 『沓掛より』で、人に慣れたあひるが陸を歩き回り、犬に襲われる危険を増す可能性を案じる。
出典:沓掛より ↗
-
09人格
人を苦しめ泣かせる行為は結局自分をいじめ殺す行為であるような気もするのである。
- 意味
- 他人を苦しめて泣かせる行為は、結局、自分自身を苦しめ、破滅させる行為でもあるように思う。
- 読み解き
- 必ず報いが来るという断言ではなく、自他の生存のつながりから生まれた推察。
- 背景
- 『沓掛より』で、自分を保とうとする努力が他者の生存にも役立つ場合があると考え、人間関係へ話を進める。
出典:沓掛より ↗
-
10教育
児童教育より前にやはりおとなであるところの教育者ならびに教育の事をつかさどる為政者を教育するのが肝要かもしれない。
読み方 為政者(いせいしゃ)・肝要(かんよう)
- 意味
- 子供に何を教えるかを改善するには、まず教える側や教育を動かす側の大人こそ、学び直す必要があるのではないかと問う。
- 読み解き
- 児童教育を後回しにする提案と読むより、教育内容を選ぶ大人の判断を問い直す指摘として読みたい。
- 背景
- 『柿の種』の一節。教科書で扱う知識の必要性や、教えても忘れられる知識について検討した後、教育を担う大人へ目を向ける。
出典:柿の種 ↗
出典と説明について
意味・読み解き・背景にはAIを使用しています。引用は公開された翻刻本文と照合していますが、原本との逐字照合や専門家による校閲は行っていません。