歴史

夏目漱石の名言・言葉10選

夏目漱石はどんな人?

江戸牛込に生まれ、本名は夏目金之助。帝国大学文科大学を卒業後、教師生活を経てイギリスへ留学。帰国後に『吾輩は猫である』を発表し、のち朝日新聞社に入社。『明暗』の連載途中、胃潰瘍で亡くなった。

人物紹介:青空文庫・作家別作品リスト ↗

名言と残された言葉

10件を表示中

  1. 01自由
    我々は他が自己の幸福のために、己れの個性を勝手に発展するのを、相当の理由なくして妨害してはならないのであります。

    読み方 己れ(おのれ)

    意味
    他人が自分の幸福のために個性を伸ばすことを、正当な理由もなく妨げてはならない。
    読み解き
    無条件の放任ではなく、正当な理由のない干渉を戒めている。
    背景
    『私の個人主義』で、自分の個性を発展させる自由を他人にも認める必要を説く箇所。

    出典:私の個人主義 ↗

  2. 02人格
    ただ金を所有している人が、相当の徳義心をもって、それを道義上害のないように使いこなすよりほかに、人心の腐敗を防ぐ道はなくなってしまうのです。

    読み方 徳義心(とくぎしん)

    意味
    金の所有者が道徳心を持ち、害のないように使いこなすことが、人心の腐敗を防ぐ唯一の道だという。
    読み解き
    富の所有そのものへの非難ではなく、使途と影響への責任を求めている。
    背景
    『私の個人主義』で、金が人の倫理にまで影響する現実を踏まえ、富の使用に伴う責任を論じる。

    出典:私の個人主義 ↗

  3. 03思想
    国家主義を奨励するのはいくらしても差支ないが、事実できない事をあたかも国家のためにするごとくに装うのは偽りである。

    読み方 奨励(しょうれい)

    意味
    食事や洗顔のような日常の行為まで国家のためにしているかのように装うのは、偽りだと批判する。
    読み解き
    国家への貢献そのものより、日常の動機を愛国心で飾る虚偽を問題にする。
    背景
    『私の個人主義』で、日々の生活の動機まで国家への奉仕として説明する考え方を退ける。

    出典:私の個人主義 ↗

  4. 04社会
    元来国と国とは辞令はいくらやかましくっても、徳義心はそんなにありゃしません。

    読み方 辞令(じれい)

    意味
    国家同士の関係では、表向きの言葉がいくら立派でも、道徳心はそれほど伴っていない。
    読み解き
    ここでの「辞令」は任命の文書ではなく、表向きの口上を指している。
    背景
    『私の個人主義』で、国家間の欺瞞を挙げ、国家の道徳を個人の道徳と比較する箇所。

    出典:私の個人主義 ↗

  5. 05社会
    百年の経験を十年で上滑りもせずやりとげようとするならば年限が十分一に縮まるだけわが活力は十倍に増さなければならんのは算術の初歩を心得たものさえ容易く首肯するところである。

    読み方 首肯(しゅこう)

    意味
    百年分の経験を十年で表面的に済ませず身につけようとすれば、十倍の活力が必要になる。
    読み解き
    十倍という数字は負担の大きさを示す論法で、実測された法則ではない。
    背景
    『現代日本の開化』で、西洋の発展を短期間で実質的にたどろうとする日本の負担を論じる。

    出典:現代日本の開化 ↗

  6. 06芸術
    繰り返して申しますが、イミテーションは決して悪いとは私は思っておらない。
    意味
    他人をまねることについて、私はそれ自体を決して悪いものだとは考えていない。
    読み解き
    模倣の全面的な礼賛ではなく、独創にも他者から学ぶ土台があるという指摘。
    背景
    『模倣と独立』で、独創的な人も他者から切り離されて新しい道を進むことはできないと論じる。

    出典:模倣と独立 ↗

  7. 07芸術
    自分に気の乗った作ができなくてただ人に迎えられたい一心でやる仕事には自己という精神が籠るはずがない。

    読み方 籠る(こもる)

    意味
    自分の気持ちが乗らず、ただ人に受け入れられたい一心でする仕事には、自分自身の精神は宿らない。
    読み解き
    読者を意識すること全般ではなく、受けたい一心で自己を失う制作への批判。
    背景
    『道楽と職業』で、芸術家が他人への迎合を優先すると作品から自己が失われると論じる。

    出典:道楽と職業 ↗

  8. 08仕事
    人間の職業が専門的になってまた各々自分の専門に頭を突込んで少しでも外面を見渡す余裕がなくなると当面の事以外は何も分らなくなる。
    意味
    仕事が専門化し、自分の専門以外を見渡す余裕を失うと、目の前の仕事以外は分からなくなる。
    読み解き
    専門知識の価値を否定せず、専門の外への関心を失うことを問題にしている。
    背景
    『道楽と職業』で、専門への没頭が相互理解や共感を乏しくし、人間を孤立させる問題を述べる。

    出典:道楽と職業 ↗

  9. 09教育
    天下の秀才を何かないか何かないかと血眼にさせて遊ばせておくのは不経済の話で、一日遊ばせておけば一日の損である。

    読み方 血眼(ちまなこ)

    意味
    優れた教育を受けた人々を仕事探しに奔走させ、働けないままにしておくのは、日々の社会的損失である。
    読み解き
    「遊ばせる」は本人の怠惰への非難ではなく、働く機会がない状態を指す。
    背景
    『道楽と職業』で、高等教育を終えた人々が生活の手段を探し続ける状況と、就業の利益を述べる。

    出典:道楽と職業 ↗

  10. 10思想
    人間の智識が発達すれば昔のようにロマンチックな道徳を人に強いても、人は誰も躬行するものではない。

    読み方 躬行(きゅうこう)

    意味
    人間の知識が発達すれば、昔のような理想化された道徳を強制しても、人々は実行しなくなる。
    読み解き
    道徳全般の不要を説くのではなく、人間に実行できない理想の強制を批判する。
    背景
    『文芸と道徳』で、昔の道徳が真実らしさや実行可能性への信頼を失う理由を論じる。

    出典:文芸と道徳 ↗

出典と説明について

意味・読み解き・背景にはAIを使用しています。引用は公開された翻刻本文と照合していますが、原本との逐字照合や専門家による校閲は行っていません。