歴史
幸田露伴の名言・言葉10選
幸田露伴はどんな人?
幸田露伴は1867年、江戸下谷三枚橋横町生まれ。本名は成行。18歳で北海道余市の電信局に赴任し、1887年に文学を志して余市を脱出。その体験を『突貫紀行』に綴り、『五重塔』『蒲生氏郷』などの作品を残した。
名言と残された言葉
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01社会
福を分たざれば、其の人は長く唯自己一個の手脚を以て福を獲得するのみの小境界に止まり、他人の手脚よりは、何等の福祉をも得ざるに終るべき理が有るのである。
読み方 手脚(しゅきゃく)
- 意味
- 幸福を他人と分かち合わなければ、自分一人の力に頼る狭い境遇にとどまり、他人からの恵みも得られない。
- 読み解き
- 分福が他者との関係を開くという議論で、見返りの確約ではない。
- 背景
- 『努力論』で、福を惜しんで蓄える必要を述べたあと、福を他人に分けない場合の限界を説く。
出典:努力論 ↗
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02仕事
努力して事に從ふのは素より立派な事では有るが、猶其の中に一縷の厭惡の情や苦痛の感の存するのを認め得べきである。
読み方 一縷(いちる)・厭惡(えんお)
- 意味
- 努力して物事に取り組むのは立派だが、その心にはわずかな嫌悪や苦痛が残っていることも認められる。
- 読み解き
- 努力一般を苦痛と決めつけた言葉ではなく、強いて行う努力に残る心の抵抗を見ている。
- 背景
- 『努力論』で、苦痛を忍んで強いて行う努力と、目的に心が向いて苦痛を意識しない「気が張った」状態を比べている。
出典:努力論 ↗
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03自然
特に人類は自意識が旺盛であるから、自己の行動はすべて自己が之を爲すやうに感じて居て、自然が之を爲さしめて居るところが有るやうに、感ぜぬのが常である。
- 意味
- 人間は自意識が強いため、自分の行動はすべて自分で起こすと感じ、自然に動かされる面に気づきにくい。
- 読み解き
- 自然の作用への無自覚を説くのであり、人間の意志を全面否定してはいない。
- 背景
- 『努力論』で、動物の行動と自然の作用を論じ、人間が四季の影響を十分に自覚しないことへ話を進める。
出典:努力論 ↗
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04人生
美しい醜いといふことは確に其人に利益不利益を与へますが、それでさへ必ずしも利不利を与へるとは限りません。
- 意味
- 容貌の美醜は人に有利にも不利にも働くが、美しさが必ず利益に、醜さが必ず不利益につながるわけではない。
- 読み解き
- 容貌の影響を認めながら、美醜と幸不幸との固定的な結びつきを退ける。
- 背景
- 『運命は切り開くもの』で、容貌に恵まれた人物の不遇と、容貌で軽視された人物の修徳を例に論じる。
出典:運命は切り開くもの ↗
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05人生
人は生きて居る間は向上進歩の望を捨てることは出来ぬものであります。
- 意味
- 人は生きているかぎり、自分をよりよくし、さらに進歩したいという希望を捨て去ることはできない。
- 読み解き
- 絶えず成果を出せという命令ではなく、向上を願う心を運命論に対置する。
- 背景
- 『運命は切り開くもの』で、占いを神聖視して向上心を損なう態度を批判し、人間の希望を論拠にする。
出典:運命は切り開くもの ↗
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06社会
群衆心理なぞと近頃しかつめらしく言ふが、人は時の拍子にかゝると途方も無いことを共感協行するものである。
読み方 群衆(ぐんしゅう)
- 意味
- 人はその場の勢いに乗ると、群衆として同じ感情に動かされ、途方もない行動を一緒に取ってしまうものだ。
- 読み解き
- 共同する行為すべてではなく、場の勢いに乗った集団の行動を問題にする。
- 背景
- 『平将門』で、神がかりの託宣によって将門への授位が宣言され、一軍が歓喜して拝した場面を評している。
出典:平将門 ↗
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07思想
心理から事跡を曲解するのは不都合であるが、事跡から心理を即断するのも不都合である。
読み方 事跡(じせき)
- 意味
- 心の動きを決めつけて行いの事実をゆがめるのも、行いの事実だけから心の動きを即断するのも適切ではない。
- 読み解き
- 心理の推測そのものではなく、曲解や即断によって事実を損なうことを戒める。
- 背景
- 『平将門』で、事跡から心理を決めつけて事実まで作ることを批判し、『日本外史』の将門像を検討する。
出典:平将門 ↗
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08人生
人間以上に心を置けば、恩愛に惹かれて動転するのは弱くも浅くも甲斐無くもあるが、人間としては恩愛の情の已み難いのは無理も無いことである。
読み方 恩愛(おんあい)・已み難い(やみがたい)
- 意味
- 人間を超えた立場では愛情に動揺するのは弱さに見えるが、人間として愛情を抑えきれないのは無理もない。
- 読み解き
- 愛情による動揺への理解であり、そこから起こる報復を一律に正当化しない。
- 背景
- 『平将門』で、頼朝が愛する者を失った話を挙げ、妻子を殺された将門の悲しみや怒りを推し量る。
出典:平将門 ↗
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09科学
科学は十分に尊敬し、十分に愛護し、そして其の生長して偉才卓能をあらはすのを衷心より歓迎せねばならぬ。
読み方 衷心(ちゅうしん)
- 意味
- 科学を十分に尊重して大切に育て、その成長によって優れた力を発揮することを心から歓迎しなければならない。
- 読み解き
- 直前には科学への盲目的崇拝も退けており、無条件の科学万能論ではない。
- 背景
- 『震は亨る』で、研究者や支援者の少ない地震学に成果だけを求める態度を戒め、科学への接し方を説く。
出典:震は亨る ↗
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10仕事
物を扱ふ心がけに於ては、何処までもその物を愛し、重んじ、その物だけの理や、強さや、必要さやを尽させるのが正当である。
- 意味
- 物を扱うときは、その物を愛して尊重し、固有の道理や強さに沿って、役割を十分に果たさせるのが正しい。
- 読み解き
- 単に保存する勧めではなく、物の性質に即して働きや美しさを生かす教え。
- 背景
- 『些細なやうで重大な事』で、物の扱い方から心掛けへ論を進め、物の力や美しさを損なう扱いを戒める。
出典:些細なやうで重大な事 ↗
出典と説明について
意味・読み解き・背景にはAIを使用しています。引用は公開された翻刻本文と照合していますが、原本との逐字照合や専門家による校閲は行っていません。