歴史

石川啄木の名言・言葉10選

石川啄木はどんな人?

岩手県の僧家に生まれた詩人・歌人・評論家。本名は一。与謝野鉄幹の知遇を得て詩人としてデビューし、詩集『あこがれ』や歌集『一握の砂』を残した。大逆事件を契機に社会主義思想に目ざめたが、肺疾患と窮乏のうちに没した。

人物紹介:青空文庫・作家別作品リスト ↗

名言と残された言葉

10件を表示中

  1. 01芸術
    記載報告ということは文芸の職分の全部でないことは、植物の採集分類が植物学の全部でないと同じである。

    読み方 職分(しょくぶん)

    意味
    植物学が採集や分類だけで尽くせないように、文芸の役割も事実の記録や報告だけでは尽くせない。
    読み解き
    記録や報告を不要とするのではなく、それだけで文芸の役割を尽くしたとする見方を退ける。
    背景
    『弓町より』で文芸の役割に触れた後、自分に必要な詩を書き手の態度から判断する議論へ進む。

    出典:弓町より ↗

  2. 02思想
    私は最近数年間の自然主義の運動を、明治の日本人が四十年間の生活から編みだした最初の哲学の萌芽であると思う。

    読み方 萌芽(ほうが)

    意味
    近年の自然主義運動を、明治の日本人が四十年間の生活経験から生み出した最初の哲学の芽と考える。
    読み解き
    自然主義運動への当時の評価であり、思想史上の定説として示すものではない。
    背景
    『弓町より』で、明治期の自然主義を生活経験から生まれた思想の芽として評価する、啄木自身の文学史観。

    出典:弓町より ↗

  3. 03芸術
    むろん詩を書くということは何人にあっても「天職」であるべき理由がない。
    意味
    誰であっても、詩を書くことを自分の天職として当然視すべき理由はない。
    読み解き
    批判の焦点は、詩人という自覚に固執して生活の必要から離れる態度にある。
    背景
    『弓町より』で詩のために詩を書く態度を批判し、詩人という自覚が文学を生活の必要から遠ざけると論じる。

    出典:弓町より ↗

  4. 04人格
    時代の弱点を共有しているという事は、如何なる場合の如何なる意味に於ても、かつ如何なる人に取っても決して名誉ではない。

    読み方 如何なる(いかなる)

    意味
    その時代の弱点を自分も持っていることは、誰にとっても、どのような意味でも誇りにはならない。
    読み解き
    同時代人であることへの否定ではなく、時代の弱点まで誇る態度への批判である。
    背景
    『性急な思想』で、健康と生活の改善を求める立場から、不健全さを必要とする文学を退けた後の断言。

    出典:性急な思想 ↗

  5. 05思想
    自己を軽蔑する人、地から足を離している人が、人生について考えるというそれ自体が既に矛盾であり、滑稽であり、かつ悲惨である。

    読み方 軽蔑(けいべつ)・滑稽(こっけい)

    意味
    自分自身を軽んじ、現実の生活から離れた人が人生を論じることには、矛盾と滑稽さと悲惨さがある。
    読み解き
    ここでの自己軽蔑は、自信の低さ一般ではなく、自分の生活上の問題を軽んじる態度を指す。
    背景
    『性急な思想』で、人生を考察する人が、自分の生活を成す具体的な問題を軽蔑する態度を批判する。

    出典:性急な思想 ↗

  6. 06人生
    目的を失った心は、その人の生活の意義を破産せしめるものである。
    意味
    目的を見失った心は、その人の生活を支える意味そのものを失わせてしまう。
    読み解き
    必要な過程を飛ばす性急さが、生活の目的を見失わせるという文脈で読む。
    背景
    『性急な思想』で性急さを目的の喪失と捉え、必要な道を踏まず山頂へ飛び移ろうとする心にたとえる。

    出典:性急な思想 ↗

  7. 07社会
    自然主義を捨て、盲目的反抗と元禄の回顧とを罷めて全精神を明日の考察――我々自身の時代に対する組織的考察に傾注しなければならぬのである。

    読み方 罷めて(やめて)・傾注(けいちゅう)

    意味
    自然主義や盲目的な反抗、元禄への回顧をやめ、自分たちの未来の時代を組織的に考えることへ全力を注ぐべきだ。
    読み解き
    「明日」は単なる翌日ではなく、自分たちが生きる未来の時代を指している。
    背景
    『時代閉塞の現状』で、青年が敵の存在を意識する時期に来たと述べ、時代の閉塞への宣戦を呼びかける。

    出典:時代閉塞の現状 ↗

  8. 08人生
    自分は『完全』といふものは、人間の數へ得る年限内は決して此世界に來らぬものと假定して居る。
    意味
    完全な状態は人間の歴史のうちには到来しないと仮定し、希望と活動が続くことに価値を見ている。
    読み解き
    直後には、完全になることを希望と活動の終わりと解釈する理由が述べられる。
    背景
    評論「葬列」で、進化や希望について論じ、完全性の概念を批判的に検討する場面。

    出典:葬列 ↗

  9. 09社会
    我々日本人が、最近四十年間の新らしい経験から惹き起されたところの反省は、あらゆる意味に於て、まだ浅い。
    意味
    明治期に積んだ新しい経験について、日本人はまだ十分に省みていないと啄木は考える。
    読み解き
    執筆当時の日本社会への評価であり、現代の日本人全体の性質を断定する言葉ではない。
    背景
    『性急な思想』で、流行の思想を急いで受け入れる一方、自分たちの生活を見つめ直す営みが浅いと批判する。

    出典:性急な思想 ↗

  10. 10人生
    いつしか詩と私とは他人同志のようになっていた。
    意味
    生活の変化の中で、かつて熱心に書いた詩が自分から遠いものになっていた、と振り返る。
    読み解き
    詩を否定する一般論ではなく、啄木自身と詩との距離が変わった体験を表す比喩。
    背景
    『弓町より』で、詩への興味を失い、職を求めて各地を移った時期を回想する一節。

    出典:弓町より ↗

出典と説明について

意味・読み解き・背景にはAIを使用しています。引用は公開された翻刻本文と照合していますが、原本との逐字照合や専門家による校閲は行っていません。